男性型脱毛症のメカニズム

このタイプの薄毛は、女性でも、更年期近くや、また、若くても、女性ホルモンの働きが低下する場合に起こってきます。

女性の体内でも男性ホルモンは作られていて、女性ホルモンが減少してくると、相対的に男性ホルモンの作用が強く現れるために、男性と類似した脱毛症が発現するのです。
男性型脱毛症は、Androgenetic alopecia、略してAGAと言われており、女性の男性型脱毛症は、Female AGA(FAGA)と言います。

AGAは男性の場合、80歳までに80%に発症するというデータがあります。

まず、最もポピュラーな、AGA発症のメカニズムからお話ししましょう。

このタイプの薄毛は見かけ上、

  1. 額の毛髪の生え際が後退するタイプ
  2. 額の両側の生え際が後退するタイプ
  3. 頭頂部に円形の薄毛部分が出現するタイプ
  4. これらのものが同時に存在する混合型タイプ

に分けられると思います。

1は、比較的若い人に多く、初期のAGAで見られ、正面から見ても薄毛の部分は直接見えませんが、前髪がややまばらな感じを受けるので、この人やばいな、という感じを与えます。

「薄毛フレッシャーズ型」としておきましょう。

このタイプの人たちが、薄毛治療外来に来られた際、わざわざ髪をかきあげて気になる生え際を見せてくれることがあります。

他人が見れば「薄い」という印象は受けないのですが、当の本人にとっては、AGAの初期はとても気になるようです。

2は、いわゆる「そりこみ型」、 3は、俗に言う「サビエル型」です。

テレビに出演している、3のタイプの薄毛の人は、正面から見ても薄毛であることがわかりませんが、番組の最後にお辞儀をしてばれてしまいます。

4は、AGAのオール・イン・ワンタイプとでも呼べるものです。

ビジュアル的には、漫画「サザエさん」の波平さんの頭から、頭頂に唯一生えている1本の毛を抜いたイメージで、「波平型」と呼んでいいでしょう。

すべてのAGAが、この分類にあてはまるわけではありません。

それぞれの聞の移行型が存在します。

女性のAGAの場合、3に近いタイプが多いようです。

男性の場合、当然、1から4に向かって進行していきます。

薄毛治療が功を奏すると、この進行の映像の逆回しのような改善が見られます。

効果的な薄毛治療は、過去にさかのぼれるタイムマシンのようなものです。

これまでの研究では、男性ホルモン(テストステロン)が毛根に作用すると、毛根にある5α-リダクターゼという酵素がテストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へと変化させ、この物質が、毛根に作用して、育毛を阻害すると考えられていました。

AGAのいずれのタイプでも、側頭部や後頭部の脱毛は起こりません。

この理由として、これらの部分の毛根には、脱毛の原因となるDHTが作用する男性ホルモン受容体がないためと考えられています。

研究で、毛根の知覚神経の刺激でIGF-Iが作られ、育毛を促進するということがわかっているので、この事実から考えると、男性ホルモンが脱毛を起こすには、DHTが知覚神経の働きを低下させると仮定されます。

これは実験で、見事に証明されました。

DHTをマウスに注射すると、毛根のみならず、全身の知覚神経の働きを低下させ、血液中のIGF-Iまでも減少させたのです。

すなわち、DHTが、知覚神経の男性ホルモン受容体に作用して、その働きを低下させ、毛根のIGF-Iを減らすことで、育毛を阻害することがわかりました。

知覚神経の働きを低下させるDHTを作る酵素、5α-リダクターゼは、毛根以外の全身の組織の知覚神経の周囲に存在します。

そのためDHTは、毛根以外の全身の組織においても知覚神経の働きを低下させ、IGF-Iを減らします。

これらの事実から、DHTは、脱毛以外にも、全身でIGF-Iを減少させるので、さまざまな病気を引き起こすと考えられます。

IGF-Iは、高血圧、高脂血症、さらに糖尿病の改善作用を持っているので、遺伝的に5α-リダクターゼの働きが高い人はIGF-Iが減少し、前に述べたように、薄毛以外にも生活習慣病が発症するリスクが、高くなるだろうと考えられます。

これが、「薄毛とメタボは背中合わせ」ということの理由でしょう。

プロペシアというAGAの治療薬剤は、5α-リダクターゼを阻害します。

また、プロペシアが、脱毛の進行以外に、生活習慣病をも改善する作用を発揮するのは、このような事実が背景にあるからです。

薄毛=メタボ、そしてメタボ=脂ギッシュというイメージがあり、三段論法で、薄毛=脂ギッシュとなります。男性ホルモンが、毛根の皮脂腺の働きを活発にするため、DHTなどの男性ホルモンの働きが活発なAGAでは、皮脂の分泌が高まるからです。

ニキビは、皮脂が詰まった毛穴で増殖したアクネ菌が、そこで炎症を起こすことで発症します。

男性ホルモンの分泌が増える思春期では、ニキビは、頭皮にはできず、主に顔や首にできます。

皮膚科の医師の説明によると、この理由は、太い毛がある部分では、毛が伸びると同時に、皮脂も毛穴の外へ押し出されますが、細いうぶ毛がある部分では、毛が伸びても皮脂が毛穴の外へ押し出されにくいのだそうです。

そのために、頭皮ではなく、うぶ毛が生えている顔や首にニキピができやすくなります。

しかし育毛サロンで、AGAの頭皮のケアをしている人たちに話を聞くと、AGAの人たちでは、よく頭皮にニキビのような毛穴の炎症が起こっているそうです。

おそらく、頭髪の伸びるスピードが正常な人では、毛穴に皮脂が溜まりにくいのですが、AGAの人は、髪が伸びにくいため、皮脂が毛穴に詰まりやすく、毛穴で炎症が起こるのでしょう。

毛穴の炎症が広がれば、毛根の血管が傷つき、結果的にIGF-Iの産生が低下し、脱毛につながるおそれがあります。

毛穴の炎症が原因で、広範囲の脱毛が起こることは少ないと思われますが、AGAの方々にとっては、もうこれ以上、髪は1本も失いたくないでしょうから、洗髪で頭皮を清潔にしておくのがよいでしょう。

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